市民社会の情報基盤システムの再構築

現在、ソーシャルと呼ばれるサービスは、市民社会を支える基盤的なソフトウェアとしての役割を十分果たしているのでしょうか。それらのサービスの内容や利用ルールは、公平なガバナンスの中で決められているでしょうか。信頼できる情報が好感されているでしょうか。また本当にやりたいことが制約を受けていませんか。「タダだから仕方がない、この程度でよい」という受け身の発想に縛られていては、自治と協働に基づ く豊かで安全な社会は実現できません。
 
わたしたちは、目指すべき社会の在り方を再デザインした上で、信頼できるガバナンスの中でオープンソースをベースとしたソーシャルメディアとしての「協働プラットフォーム」の再構築を提案します。
 
★ソーシャルメディアとは?
個人、組織の情報発信が、ウェブサービスを経由することによってそれ自体が意味を持つコミュニティとなり、実社会に広く拡散され、影響力を持ち始めたメディア。
twitterfacebookなど、個人間の情報発信が可視化されやすくなったことにより、ソーシャル・ネットワーキング・サービスネットワーク的な概念、コミュニティメディアとして浸透している。

プラットフォーム基盤開発の経緯

私たちの提案するソーシャルメディアとしての「協働プラットフォーム」は、本団体の代表理事、長坂俊成(現、立教大学大学院21世 紀社会デザイン研究科教授)が慶應義塾大学大学院政策メディア研究科特別研究助教授在職中(2000年当時)、地域社会の協働を支えるインターネットを活用した新たな市民メディアとしてのプラットフォームのコンセプトを提唱し、システムの開発に着手したものです。

その後、2004年に同代表が国立研究開発法人防災科学技術研究所に異動したことを契機として、地域社会の協働に基づく減災型社会の実現をめざし本格的な開発に展開しました。また、東日本大震災を契機として、プラットフォームを活用した被災地情報支援から得られた教訓を踏まえ、関係府省と連携を図りつつ自治体等の災害対応や住民等への情報伝達を支援するクラウドシステムを提唱。その開発に取り組み2014年にオープン ソースとして無償公開しました。
 
東日本大震災で活用された「災害ボラン ティア運営支援システム」、「災害デジタルアーカイブシステム」、「罹災証明発行システム」、「仮設住宅等の被災者みまもり支援システム」、「がれき撤去 管理システム」もすべてオープンソースとして無償で公開しています。

オープンソース「協働プラットフォーム」

現在は、以下のオープンソフトウェアがすべて無償で公開されています。
 
(1)「eコミグループウエア」
多様なグループがコミュニケーションを通じて市民の知恵を結集し、さらに、行政や専門家の専門知を統合して、社会に新たな価値を生みだす ソーシャルなグループウェアとして、「eコミ‐グループウエア」を提案します。設定と運用によって地域コミュニティや市民活動団体のグループウェアや ホームページ、ポータルサイト、SNS、個人ポータルとして利用できます。また地理情報システムやデジタルアーカイブシステムなど のWebサービスと連携して様々なサービスを統合してワンストップで利用者に提供するコックピットの役割を果たします。
 
(2)相互運用型地理情報システム「eコミマップ」関連ソフト
インターネットを介して地図や航空・衛星画像、位置情報を持った文書や映像を統合的に扱うことができる地理空間情報システム(GIS)です。国際標準的技術を用いてシームレスに利用できる地図の相互運用性を有しています。相互運用技術により異なる機関やグループが公開している地理空間情報を相互にリアルタイムで取得 し、組み合わせて利用することができます。さらに、それら の上にオリジナルの情報を加えて新たなマップを作製し公開することができます。また、このような地理空間情報の利活用は、東日本大震災の教訓を踏ま えた災害対策基本法の改正によって、国や自治体等に応急対応者の責務として課されいいます。
 
(3)デジタルアーカイブシステム
地域の文化や災害の記録を多メディアで行うことができるデジタルアーカイブシステムです。写真や動画などの映像コン テンツのほか、地理空間情報、文書、音声等のコンテンツを統合的に扱うことができます。
 
(4)官民協働危機管理クラウド
市町村や都道府県、ライフライン等の各種民間事業者、医療・福祉機関等の防災関係機関が、自然災害の警戒期や発災後の応急・復旧対策に、関係機関と相互に情報共有を図りながら連携して迅速かつ効果的に災害対応を実行するためのシステムです。地理空間情報の共有のための相互運用に対応しています。また、総務省の公共コモンズにも対応し、 緊急速報メールや地デジの文字放送へのデータ配信、フェースブックやツイッターなどのSNSへの情報発信などを一元化し、多メディアを通じて ワンストップで避難情報等を住民等に伝達することができます。さらに、気象庁が配信する気象情報や国土交通省が提供する河川水位情報を、リアルタイムなトリガーとして様々な判断や対応を支援する機能を有しています。同システムは、自然災害に止まらず、大規模イベントの警備、口蹄疫や鳥インフルエンザなどの感染症対策、企業のBCMなどにも利用できる汎用的な危機管理のプラットフォームとして開発されたものです。