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災害アーカイブ東北広域版

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西日本豪雨被災地に日本初「モバイル型応急仮設住宅」誕生(1)実現まで



■「完成品を被災地に運びこむ」という発想
 
トレーラーハウスやムービングハウスは、「運べる住宅」です。現地でのセッティングの時間もわずかで、一から建設するプレハブ住宅や木造住宅に比べて、工期がきわめて短いのが特徴です。
今回、西日本豪雨被災地の倉敷市において、日本ではじめて応急仮設住宅として採用されました。
 
協働プラットフォームでは、震災直後から倉敷市へ早期入居が可能な「モバイル型」仮設住宅を提案。岡山県や内閣府防災担当との協議の結果、災害対策法上の仮設住宅と認められました。
建設地は、被害の大きかった真備町に隣接する船穂町。メーカーの協力を得て、トレーラーハウス10棟とムービングハウス41棟の合計51棟が設置されました。
8月末に運び込みを終え、9月上旬には待望の入居がスタートします。





■機動性と即応性に期待
 
協働プラットフォームは、以前からトレーラーハウスやムービングハウスの機動性と居住性に注目し、被災地での活用を探ってきました。
熊本地震の被災地で福祉避難所としてトレーラーハウスを活用、今回の西日本豪雨でも茨城県境町やメーカーとプロジェクトを組んで、発災直後にシャワー室やトイレのコンテナユニットを届け(第一弾)、ボランティアセンターの宿泊施設用ムービングハウスを無償提供(第二弾)するなどの支援をおこないました。
 
「運べる住宅」を活用したモバイル型応急仮設住宅は、災害救助法に基づき建設される仮設住宅や、既存の賃貸物件を借り上げる「みなし仮設住宅」に続く第三の応急仮設住宅として期待されています。
 
災害後に一から建設を開始する従来の仮設住宅では、工期の短いプレハブ住宅とはいえ、やはりそれなりの工期が必要です。短期間に工事が集中するために、工事人員の確保も困難です。
仮設住宅には「みなし仮設」と呼ばれる借上型もあります。これは賃貸住宅を都道府県が賃借して被災者に無償転貸するもので、早期に被災者に提供できる利点があります。
しかし、被災者の数やニーズに既存物件が合致することは難しく、また、仮設住宅の必要数すべてをまかなうことは困難です。
 
そこで、「モバイル型応急仮設住宅」が、これらを補完するものとして登場したのです。
 
コストは建設型の8割程度。さらに、コンテナ自体は20年以上の耐用年数がありますので使い捨てではなく再利用することが可能です。
被災地に送られる前の用途に戻る、あるいはまた別の場所で違う目的に使われるなど、仮設解消に伴う廃棄物が発生しないという大きなメリットもあります。





■コンテナは暑い、狭苦しい……?
 
団地の整備が進み入居受付が始まった頃、「モバイル型への入居希望者が低迷している」とのメディア報道が流れました。
「コンテナは暑い」「狭い」「武骨」「安定性が悪い」など、住宅としてはネガティブなイメージが独り歩きしてしまったようでした。
 
ところが、現地見学会に足を運んだ方々の反応は違いました。
猛暑の屋外から入ってみると、高気密・高断熱仕様のムービングハウス内は意外な涼しさ。
さらに、細かいところまで居住性に配慮した室内は、「コンテナ」のイメージとは大きく違っていたようです。高原の別荘のようなお洒落な雰囲気や、木の香りに包まれるログハウスのような内装も、見学者を驚かせました。
「思っていたのと違う、ずっといい」「機能が高い」という評判が広まったこともあり、その後は入居希望者が相次ぐことになりました。
なかには「仮設住宅ではなく、落ち着いたらぜひ自宅として購入したい」という声もあったようです。


 
■もっとスピードアップするために
 
日本初だった今回のプロジェクトは、それゆえに様々な問題にも直面しました。新しい発想を理解してもらうために、各方面との協議を重ねる必要がありました。
また、国が定めた仮設住宅の仕様に合わせて設備・備品に変更するために、すでに完成しているムービングハウスを改造したり、新設したりという時間のロスが発生。結果的に、設置完了までに約一か月を要してしまいました。
建設型よりははるかに早かったとはいえ、調整や交渉のために時間がとられてしまったのが反省点です。
 
しかしこれらの問題は、ブレイクスルーのプロジェクトだからこそ直面したことで、次回以降はぐっと軽減されていくはず。
モバイル型応急仮設住宅のシステムの構築や、供給体制の整備、自治体と事業者との緊密なネットワークづくりなど、今後の課題も見えてきました。それらを含めて、モバイル型応急仮設住宅の有効性と将来性に、大きな手ごたえを感じています。
 
モバイル型応急仮設住宅が、思わぬ災害に傷ついた大人たちはもちろんですが、新学期を迎えた子どもたちの心安らぐ場になればと願っています。
 

  「モバイル型応急仮設住宅」倉敷モデル プロジェクト
    一般社団法人日本RV輸入協会
    一般社団法人日本ムービングハウス協会
    一般社団法人協働プラットフォーム
 
→写真で見るモバイル型応急仮設住宅はこちら
 
 
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